後藤正好「ネタ帳をつけてみる」
当面書く仕事がないときでも、ネタ帳をつけておくといいことがある。
急に「何か書いてくれ」と言われたときに、楽に対処できるということではない。
そうではなくて、ネタ帳をつけることが、いつでも書くための準備運動になっているということだ。
ネタ帳には、日常の生活で気になること、思いついたこと、はっとしたこと、不思議に思ったことなど、なんでも書いておく。
新聞や雑誌、テレビ、インターネットからの情報でも、気になったものはすべて書いておく。
メモはできるだけ詳しく。
というのは、キーワードだけで書かれたメモはあとで読み返したときに、何が面白かったのか思い出せないことがよくあるからだ。
たとえば「ご長寿早押しクイズ」と書いてあるだけでは、あとでなんのことかわからない。
それを「ご長寿早押しクイズ何回もへんな誤答を言っているうちに、正解が出てくることがある/古い記憶は思い出すのに時間がかかる/一見ぼけているようでも記憶はちゃんと残っ
ている」とメモしておけば、これだけで文章の骨格にすることができる。
よく「問題意識を持て!」などと言われるけれども、そんなものを一体どうやって持ったらいいのか、具体的に教えてくれる人はいない。
後藤正好(教育評論家、元中学校教諭)
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